都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違いは?価格が高いのは?

日常生活で欠かせないものの一つに『ガス』があります。オール電化にしている方は使わないかと思いますが、まだまだガスはたくさんの世帯で使われています。
料理、お風呂、場合によってはエアコンなどにも使われるガスですが、昨今の光熱費価格の高騰によって頭を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
やはり出費は抑えたいものです。そこでこの記事では、都市ガスとプロパンガスの違いや価格の違いなどを書いてみました。より皆さんのご家庭にあったものを選ぶときの参考になれば幸いです。
都市ガスとプロパンガスの違いとは?
両方とも聞きなれたガスの総称ですが、そもそもこの二つのガスはどういったものなのでしょうか?元栓をひねれば使えるものなので、改めてどういうものか説明をしようと思うといまいちよくわかりませんよね。なんとなく、都市ガスは地下のガス管、プロパンガスは大きなガスボンベ、そんな漠然としたイメージです。では、詳しくみていきましょう。
都市ガスとは
都市ガスは、道路の下にあるガス管を通して家庭や企業などに供給されるガスのことです。原料となるのは天然ガス。他の化石燃料と比べて燃焼路の二酸化炭素と窒化酸化物の排出量が少なく環境に優しいことでも知られています。
また、本来ガスには臭いはありませんが、ガス漏れなどのトラブルの際にいち早く気がつけるように独特の刺激臭がつけられています。原料である天然ガスはマイナス162℃まで冷やすことにより液体となり、体積も600分の1と小さくなる点も特徴的です。
プロパンガスとは
プロパンガスと聞いてまず思い浮かべるのはネズミ色のボンベですよね。大きなガスボンベ、誰もが一度は見たことがあると思います。家庭だけではなく、工場や飲食店にも多く置かれているイメージです。
プロパンガスは都市ガスよりも重く下に溜まります。ガスというと、ヘリウムガスのように上に溜まるイメージなので驚きですね。プロパンガスはLPガスとも呼ばれます。LPガスとは、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)の頭文字をとったもので、常温では気体ですが、圧力をかけたり冷却することで簡単に液体になる特性からこう呼ばれています。
こちらも都市ガスと同様に無臭ですが、もしもの時のために着臭されています。-42℃まで冷やすと液体になり、体積が250分の1と小さくなります。
金額と提供地域の違い
都市ガスとプロパンガス自体に違いがあるということは、もちろんその提供される値段にも違いがあります。基本的に両方のガスは輸入品なのですが、日本各地の地方(関東や関西や北海道など)によって基本料金が違います。
また、都市ガスの供給エリアは人口がある程度密集した都市部に限られています。これは、都市ガスの供給に必要なガス導管を設置するための初期費用が非常に高いため、費用回収が見込める地域(人口が多い、つまり潜在的な契約者が多い地域)以外での供給が難しいことが理由です。一方のプロパンガスは、ボンベと簡単な設備で供給が行えるため、全国各地で供給されており、とりわけ都市ガスが通っていない地域の熱源として活躍しています。
双方のメリットとデメリット
都市ガスには次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
・燃料としての効率が高い
・発電時に発生する排ガスが少ないため、環境に優しい
デメリット
・天然ガスがなければ使用できない
・大型の管が必要で、建物が建てられない場合がある
・故障した場合、管を継ぎ換える作業が必要で面倒
・輸送距離が長いと質が劣化する可能性がある
プロパンガスには次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
・燃料としての効率が高い
・大型の管が不要なため、建物の建てられない場所でも使用できる
・燃焼時に発生する排ガスが少ないため、環境に優しい
デメリット
・火災や爆発の危険性があるため、使用には注意が必要
・圧縮する必要があるため、輸送や保管に若干の制限がある
・石油や天然ガスがなければ使用できない
具体的な数字を見てみましょう
価格や提供地域やメリットデメリットを見てきてなかなか違いがあることがわかりました。では具体的な値段の違いを見ていきましょう。
前提として
都市ガスとプロパンガスは熱量が違います。
プロパンガスの熱量は1㎥あたり24,000kcalなのに対して、都市ガスは11,000kcalです。プロパンガスの熱量の方が約2.18倍大きいということですね。
つまり、双方が同じだけの作業をするためには、都市ガスをプロパンガスの2.18倍使う必要があるということです。簡単に言えばお風呂を沸かすのにプロパンなら10分かかるとすると都市ガスなら22分かかってしまいます。
値段の違い
「プロパンガスの方が早く沸くならガス代も安くなるのでは?」と思ってしまいますよね。しかし、結論を言うと、たいへん残念なことに都市ガスに比べてプロパンガスは高くなっています。
理由は、ランニングコストが大きく関係しています。
ガス管を設置するときの初期費用は高額ですが、その分一度設置されてしまえば安定的にガスを供給できる都市ガスと違い、プロパンガスは毎回ガス販売員がボンベを契約者の家まで配達する必要があるため、必然的に人件費やガソリン代などのコストがかかります。この配送にかかるコストはプロパンガス小売価格の大部分を占めています。
その結果、『プロパンガスの方が都市ガスよりも約1.7~1.8倍料金が高い』ということになります。
まとめ
二つのガスの違いを見てきましたが、都市ガスを使うことのできる環境にお住まいの方は都市ガスを。使えない方は必然的にプロパンガスを使うことになります。
プロパンガスの方が値段は高くなってしまいますが、提供会社は都市ガスと違ってたくさんあるので、会社ごとに料金を比較して少しでも価格の抑えられる会社を探してみるのもいいかもしれません。